情報伝達ミス防止訓練教材とは

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職場において、社員同士や取引先との情報共有は、仕事を円滑に進める上で非常に大切な基本です。正しい情報が伝わらないことにより、作業が進まなかったり、事故やトラブルに発展する危険性があります。

本教材は、情報伝達、コミュニケーションの失敗、エラーを減らすため、社員のコミュニケーションスキルを向上させることを目的にしています。

教材は公益財団法人鉄道総合技術研究所が研究・開発したもので、DVDとテキスト(26頁)で構成されています。

教材の概要と使い方について説明させていただきます。

目次

  1. この記事の対象
  2. コミュニケーションエラー
  3. 復唱のスキル
  4. 確認会話のスキル
  5. スキルを向上させる訓練
  6. 実践と振返り
  7. ブロック組立を使うメリット
  8. 教材の使い方
  9. 教材の成り立ち
  10. 使用条件
  11. 販売実績
  12. 販売価格
  13. まとめ

1.この記事の対象

この記事は、以下のような方に向けて書かれています。

  • 部下に情報を伝えても、うまく伝わっていないことが多い上司の方
  • 上司からの連絡、指示があいまいで分かりにくいと困っている部下の方
  • 職場でのコミュニケーション研修を考えている研修担当者の方

2.コミュニケーションエラー

コミュニケーションエラーについては多角的な観点から理解する必要がありますが、ここでは、シンプルに説明いたします。

コミュニケーションは発信者と受信者の間で行われます。発信者は情報を受信者に伝え、受信者はそれを受けて「理解した」とか「ここが分からない」とかの情報を発信者に返し、両者の間でループが生じます。この流れにより、両者が同じ情報を共有することがコミュニケーションのゴールになります。

双方向のシンプルなコミュニケーションモデル

そして、両者が同じ情報を共有することができず、作業や業務に支障が生じた場合に、それをコミュニケーションエラーと言います。

発信者は、伝えるべき情報をいかに受信者が理解できるように伝えるかがポイントになります。

受信者は、伝えられた情報を発信者の意図通りに理解する必要があります。その理解が怪しい場合には、確認のために発信者に向けて分からない点などを確認する(分からないという情報を伝達する)ことが必要になります。

「情報伝達ミス防止訓練教材」は、コミュニケーションエラー防止のために研修等で用いていただくために開発された訓練教材です。

一般の方にも馴染みやすいようにカタカナではなく日本語で表現していますが、情報伝達はコミュニケーションことを示しています。

教材の導入部分「コミュニケーションエラー」では、コミュニケーションエラーの解説、エラー防止対策についての解説スライドで学習を行います(約5分)。

情報共有のイラストCG

ここで、本教材において対象となるコミュニケーションエラーの範囲は以下になります。

    1. 発話におけるコミュニケーションエラー
    2. 会話、伝達が成立した際のコミュニケーションエラー
    3. 対等な関係におけるコミュニケーションエラー

1について、言葉を使わずジェスチャーで伝える場面や、資料やメール、情報等による情報共有場面でのコミュニケーションのエラーは範囲外になります。

2について、連絡しようとした相手が不在だったとか、騒音などで聞き取りが難しかったことが原因となるコミュニケーションエラーは範囲外になります。

3について、権威勾配が伝達に強く影響して発生するコミュニケーションエラーは範囲外になります。

3.復唱のスキル

復唱はよく使われるコミュニケーションエラーの防止対策です。相手の発言を繰り返すことを指しますが、誰でも同じようにできるわけではなく、個人によって得意不得意があります。たとえば、復唱すべきときとしなくてもよいときとを判断するスキル、相手の発言の中で復唱すべき重要な部分を見つけるスキルなどが人によって異なるからです。

「情報伝達ミス防止訓練教材」では、復唱についてビデオ映像で実例を示しながら解説します。これを視聴することで、情報伝達ミス(コミュニケーションエラー)を防ぐための復唱について学ぶことができます(約7分)。

コミュニケーションエラー対策「復唱」
教材の画面例

4.確認会話のスキル

「確認会話」は、復唱ほど一般的ではありませんが、発信者側と受信者側が相互の考えのズレをすり合わせるのに有効な方法です。受信者は、聞いたことをそのまま返すのではなく、自分の言葉で言い換えて内容の確認をします。「つまりこういうことですか?」「こう解釈して、こうすればいいですか?」などと返して、互いの理解を深めていきます。

「確認会話」ではどのように表現すればより相手に伝わるかを考えて言葉を選ぶ必要がありますので、復唱以上に個人のスキルが必要になってきます。

「情報伝達ミス防止訓練教材」では、確認会話についてビデオ映像で実例を示しながら解説します。これを視聴することで、情報伝達ミス(コミュニケーションエラー)を防ぐための確認会話について学ぶことができます(約8分)。

コミュニケーションエラー対策「確認会話」
教材の画面例

5.スキルを向上させる訓練

本教材では、復唱や確認会話のスキルを向上させる訓練として、「コミュニケーションエラー要因学習」が用意されています。

これは、別の部屋にいる指示者から音声だけの指示を聞き、作業者がおもちゃの部品で車を組み立てようとする映像を見て、「この表現では伝わらない」「ここの説明が足りない」などの、コミュニケーションエラーの要因となる問題点を見つけて、できるだけたくさん記録用紙に書き出していく訓練です。

教材の画面例
教材の画面例

必要な時間は約15分です。

6.実践と振返り

「実践と振返り」は、訓練教材で例示しているビデオ映像と同等の課題を体験いただくものです。オプションの「実践用組立サンプル集(7種類)と実践用組立ブロック」を購入いただくか、独自に作業を用意いただいても結構です。オプションを使用した場合、必要なものは以下になります。

  • 情報伝達ミス防止訓練教材テキスト(教材付属品)
  • 実践用組立サンプル集(7種類)と実践用組立ブロック
  • 会議室等2部屋
  • 撮影用ビデオカメラ(ウエラブルカメラ)
  • トランシーバ―2台
  • パソコンとモニター

参加者は2部屋に別れ、代表者が指示者と作業者になります。難易度の異なるサンプル集から1つを選んで、指示者はトランシーバーを介して指示し、作業者と話し合いながら組立課題を行います。ウエラブルカメラは作業者が装着し、手元を撮影します。

作業者はバラバラのブロックを目にしているのですが、何をどのように作ればよいかは知らされません。

ブロックのパーツ一覧(カメラ用)
指示者、作業者に与えられる部品名称(例)

指示者は、部品名称の資料と、下記の組み立て方の説明図だけを見て、作業者にトランシーバーで指示します。

指示者用マニュアル(カメラ)
実践用組立サンプル集より

指示者はどう言えば正確に伝わるかを考え、工夫することで、コミュニケーションのスキルを身に付けます。

一方、作業者は指示の曖昧さに気づいたり、どう問い返せばよいかを考えたりすることで、コミュニケーションのスキルを身に付けます。

指示者と作業者の関係

終了後は、撮影映像をモニターに映しながら、全員で振り返りを行い、コミュニケーションの問題等を確認します。

指示者と、同じ部屋にいた参加者とは、指示がいかに分かりにくかったか、作業者がどう悩み、どう解釈していたかが分かり、驚きます。この驚きが、コミュニケーションのスキル向上のモチベーションを上げる力になります。

作業者と、同じ部屋にいた参加者とは、振り返ることで指示への対応のまずさに気づき、どう返すべきだったかを考えることができます。

時間は実践で20分~、振り返りで20分~です。

7.ブロック組立を使うメリット

本教材が、ブロック組立を用いていることには、訳があります。

コミュニケーション場面を取り上げるには、その会社で実際に行っている仕事を題材にすることが自然です。しかし、そうすると、その仕事に固有の事柄について詳しい人が詳しくない人に教えることが多くなります。取り上げた仕事場面における限定されたスキルの訓練にはなりますが、他の仕事場面への応用が難しいのです。

そのため、課題は業務に関連のないもの、特別な知識や経験がなくてもできるような簡単なものが望まれます。

簡単なものが望まれるのは、課題が難しすぎると、うまく進まない場合にコミュニケーションに問題があるのか、作業が難しくて進まないのかが分かりにくくなってしまうからです。

さらに、指示者が使用するマニュアルは、文章を使わず、図、絵、写真だけを用いたものが望まれます。指示者が図、絵、写真からどう文章化して指示するか、表現の仕方や言葉の選び方などについて考えることが訓練になるからです。

このようにブロック組立は、誰もが平等に取り組める簡単な課題で、絵のみで作られたマニュアルも用意されていますので、ベテランも新人も同じようにコミュニケーションについて学ぶことができます。

初心者とベテランが横並び

8.教材の使い方

本教材を使った研修は費やすことのできる時間や手間に応じて、さまざまなカリキュラムが可能です。

実施しやすいシンプルな使い方は、パソコンソフトの順番通り、「コミュニケーションエラーについて」「コミュニケーションエラー要因学習」「コミュニケーションエラー防止対策」を進めるものです。トータルで、30分程度の研修になります。この流れは、自習でも可能です。

教材の使い方(短時間と長時間)

実践の準備が可能で長時間の研修を行いたい場合には、最初に「実践・振返り」でコミュニケーションの難しさを感じてもらい、ソフトで学び、最後の仕上げにもう一度「実践・振返り」をして、学んだことを応用し、定着させるという手順が可能です。2~3時間程度で行うとよいでしょう。

9.教材の成り立ち

本教材の開発経緯についてご紹介しましょう(中村ら2017)。

中村竜, 北村康宏, 井上貴文, 佐藤文紀, & 小野間統子. (2017). 鉄道現場作業における情報伝達エラー発生要因と対策の検討. 鉄道総研報告= RTRI report: 鉄道総合技術論文誌/鉄道総合技術研究所 監修, 31(11), 11-16.

鉄道総研では、コミュニケーションエラーが関連したヒヤリハット経験や事象の情報を集め、その発生要因を抽出しました。

発生要因は、「情報不足」「相手の理解の確認不足」などであり、「情報不足」に関係する要因として「伝えるべき情報が分からない」「思い込み(相手は分かっている・分かると思う)」があるというように、要因間の関係についても整理しています。

それぞれの要因に対する対策について、「復唱」『確認会話」「曖昧表現・用語学習」などを検討しました。そして、指導法が確立されていなかったため、これらの対策ができるような訓練教材を作成することにしました。

教材は、ある鉄道会社で実施している訓練をベースに作られました。

大学生、大学院生144名を対象に実施し、効果を確認したところ、ブロック組立前に「コミュニケーションエラー要因学習」をしたグループはしなかったグループと比べて、曖昧な表現の言葉を利用する回数が少なかったことが分かりました。

さらに、「復唱」「確認会話」の学習教材を視聴して、それを行うように指示されたグループは学習も指示もされなかったグループと比べて、コミュニケーションエラーの数が少なかったことが分かりました。

鉄道事業者で10名に上記の学習と実践を試行したところ、以下のような回答を得られました。

  • 自分の視点と相手の視点が異なることが体験できた
  • 復唱・確認会話の説明映像が分かりやすい
  • 相手の復唱や確認会話によって、自分の指示の曖昧さに気づくことができた
  • 表現を変えて説明することによって、互いの認識が合うことを体験できた

10.使用条件

ソフトはCDROMから直接起動することが可能です。OSはWindows7、8.1、10に対応しています。

  

11.販売実績

本教材は、2018年に販売開始以来、現在 47 社 61 箇所で購入いただいています(2024.04)。

販売本数は教材 57 本、ブロック 93 箱です。

業種は、鉄道事業者等が 27 社 40 箇所、鉄道以外が 20 社 21 箇所になっています。

 

12.販売価格

本教材の販売価格は 80,000 円(税抜き・送料込み)です。 

また、「実践用組立サンプル集(7種類)と実践用組立ブロック」は 7,500 円(税抜き・送料込み)です。 

13.まとめ

社員同士や取引先と間で正しい情報が伝わらないことにより、作業が進まなかったり、事故やトラブルに発展するコミュニケーションエラーを防止するため、「復唱」「確認会話」のスキルを向上させる訓練教材「情報伝達ミス防止訓練教材」についてご紹介しました。

ブロック組立という作業において「復唱」「確認会話」を試すことで、実際の職場においても、それらをより上手に使うことができるようになります。

 ぜひ、この教材を用いてコミュニケーションエラーの防止を目指してください。 

情報伝達ミス防止訓練教材の概要

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