指差喚呼効果体感ソフト
指差呼称をする意味に腹落ち「指差喚呼効果体感ソフト」とは
指差呼称をするとエラーが減ると一般に言われますが、みなさんは本当に腹落ちできていますか?
腹落ちできていないと指差呼称を恥ずかしいと感じたり、手間だと感じたりして、形骸化してしまいます。形だけの指差呼称になったり、人目のないときには行わなかったり、忙しいときには省略したりしがちです。それが原因でエラーをし、事故となってしまうかもしれません。
意識の入っていない指差呼称や、指差呼称の省略を防ぐためには、エラー防止効果を実感して、その指差呼称をする意味を腹落ちしておくことが重要です。
この記事では、実感を獲得でき、指差呼称をする意味を腹落ちできる研修ツールである「指差喚呼効果体感ソフト」を紹介します。
なお、商品名の「指差喚呼(しさかんこ)」は主に鉄道業界で使用されていますが、一般的には「指差呼称(しさこしょう)」と言われます。本記事では、商品名以外は、指差呼称と表記します。
目次
- この記事の対象
- 形骸化に困ってはいませんか
- 指差呼称の実施の実態は
- 指差呼称は完璧ではありませんが
- 指差呼称のエラー防止効果を実感しにくいわけ
- 指差呼称についての研修
- 「指差喚呼効果体感ソフト」を用いた研修
- 「指差喚呼効果体感ソフト」の内容
- 「指差喚呼効果体感ソフト」の使用条件
- 「指差喚呼効果体感ソフト」の販売実績
- 「指差喚呼効果体感ソフト」の販売価格
- 「指差喚呼効果体感ソフト」のよくある質問とその回答
- まとめ
1.この記事の対象
この記事は、以下のような方に向けて書かれています。
- 職場に指差呼称を疎かにする作業員がいて困っている管理者の方
- 指差呼称の定着が進まなくて困っている管理者の方
- 指差呼称の研修材料を探している研修担当者の方
- ヒューマンエラーは誰でも起こしうることを伝えたい研修担当者の方
2.形骸化に困ってはいませんか
あなたの職場では、指差呼称が定着できないことで、お困りではないでしょうか?
管理者の前以外では指差呼称をしていなかったり、ことあるごとに指差呼称なんて無意味だと苦情を言ったりする作業者に困ってはいませんか。
指差呼称をするとヒューマンエラーが減ることは各種の実験により確かめられていますが、「指差呼称すると確実にエラーが減る」という実感は得られにくいものです。
効果を実感できないと指差呼称を、恥ずかしい、手間、無意味などと感じやすくなります。
3.指差呼称の実施の実態は
職場で指差呼称が推奨されていても、忙しい時などには省略することがあるようです。たとえば、看護師28名へのアンケート調査では、指差呼称を行っている者が96%、省くときがある者が93%との結果が得られています(小村ら2014)。
1)小村美穂、山崎祐、小椋美奈子、角ひかる、遠藤明美:A病棟看護師の指差し称に対する意識調査、鳥取大学医学部附属病院看護部院内看護研究発表、pp.61-66、2014
看護師は人の命を預かる大切な仕事をしています。人の注意力に依存する作業が多く、医療事故も少なからず起こっています。そのような現場でも93%もの看護師が指差呼称をしないことがあるのは心配です。
調査では、どのような場面で指差呼称を省くかを聞いたところ、「忙しいとき」「他児のアラーム対応をするとき」のように急いでいるときが多いようです。また、「カルテを開くとき・記載時」「点滴交換」なども挙げられていますが、これらの場面は簡単で間違いにくいと思うからでしょうか。
4.指差呼称は完璧ではありませんが
「人は誰しもエラーをする」最近ではよく聞く言葉ではないでしょうか。人は作業に慣れ、次第にスキルを向上させますが、絶対にエラーをしない完璧なレベルまでには到達できません。
ヒューマンエラーを防ぎ、事故を防ぐためには、仕事の環境ややり方を変えたり、機械によるバックアップを充実させたりすることが効果的です。
しかし、仕事の内容により、あるいは対策コストが高すぎることにより、安全を人のスキルに依存せざるを得ない場面が一定程度残ってしまいます。
そのような場面で、少しでもエラーを起こしにくくするのが指差呼称の役割です。
5.指差呼称のエラー防止効果を実感しにくいわけ
指差呼称のエラー防止効果を実感しにくいわけは、皮肉なことに、私たちが安全な環境で、安全な作業をしているからです。安全な環境や作業は、エラーを起こしにくく、起こしてもバックアップなどで事故にならないようにしています。めったに起こらないエラー、事故なので、指差呼称をした場合のエラーも、しなかった場合のエラーの経験も少なく、実感できないわけです。
指差呼称のエラー防止効果の検証例で一番ポピュラーな結果は、指差呼称をするとエラーが6分の1になるというものです。その実験でのエラー率をみてみると、指差呼称なしのエラー率は2.4%、指差呼称ありのエラー率は0.4%です(芳賀ら1996)。
2) 芳賀繁、赤塚肇、白戸宏明:「指差呼称」のエラー防止効果の室内実験による検証、産業・組織心理学研究、Vol.9、No.2、pp107-114、1996
実際の仕事現場でこのくらいの確率でエラーが起こることはあり得ないでしょう。もし起こっていたら、事故多発現場になってしまいます。
実際の仕事現場ではエラーが起こる確率はもっと低いはずです。たまにしか起きないから指差呼称のエラー防止効果に気づくチャンスが少ないのです。
また、効果に気づくためには、いつもは指差呼称をしていてエラーを起こさず、指差呼称をしなかったときにエラーを起こすという状況が必要になります。これにより、ますます実感が得られないのです。
6.指差呼称についての研修
あなたの会社、あなたの現場では、指差呼称に対してどのような研修を行っていますか?たとえば、こんな研修が考えられるかと思います。
- 指差呼称のやり方、確認する対象をレクチャーする
- みんなで指差呼称を練習、実演する
- 小集団で、指差呼称をする場面について話し合う
- 指差呼称のビデオを視聴させる
- 指差呼称のエラー防止効果を説明する
これらの研修に比べて、「指差喚呼効果体感ソフト」を用いた研修は、費用が高いという欠点があります。ソフトの費用のみならず、受講者の人数分のパソコンを用意する必要もあるからです。
しかし、「指差喚呼効果体感ソフト」には、説明するだけでは伝わりにくいエラー防止効果を腹落ちさせることができるという、他にはないメリットがあります。
7.「指差喚呼効果体感ソフト」を用いた研修
「指差喚呼効果体感ソフト」を用いた研修は1時間を目安としています。
最初に講師から概要を話した後、各参加者は自分のペースで1つめの課題を行います。終了すると、指差をしたときとしなかったときのエラー率の差がグラフ化されます。
全員が終了したのち、講師は自分のパソコン上でソフトを使い、その画面をスクリーンに投影するなどして、解説を行います。
そして小グループに分かれて、課題と似た仕事場面について話合い、その場面で指差ができるかを話合ってもらいます。
ここまでで30分程度、次に、喚呼についての課題をもう一つ同様に行います。
最後は、簡単にまとめと振返りをして終了です。
ほとんどの時間は、ソフトの順番に沿って進めますので、講師の負担も少なく、効果的な研修をすることができます。
8.「指差喚呼効果体感ソフト」の内容
本ソフトは公益財団法人鉄道総合技術研究所が開発し、株式会社テスが販売しているものです。
鉄道総研では、指差呼称のエラー防止効果について5つに分類し、それぞれの効果を検証する実験を行い、それを確認しました(増田ら2014)。本ソフトはその際に使用した5つの課題を用いています。
3) 増田貴之、重森雅嘉、佐藤文紀、芳賀繁:指差喚呼のエラー防止効果の検証、鉄道総研報告、Vol.28、No.5、pp5-10、2014
〇点数え課題
画面上にある「○」を数えます。
指差しをすると、視線が1つ1つの〇に向きやすくなり、数えやすくなります。
その結果、正解率が増えます。
〇じゃんけん課題
相手の手が出されてから、こちらの手を出すあと出しじゃんけんです。
最初は勝ち手を出し簡単ですが、次に負け手を出す課題になります。
相手の手、自分が出すべき手を指差してから対応するボタンを押すことで、反応までに時間をかけ余裕が生まれるために、誤りにくくなります。
〇色記憶課題
上に出る色と同じ色を下の選択肢から選びます。
それをくり返すと、○個前の色は何だったかという質問が入ります。
一つひとつの色を呼称しながら答えていると、記憶が強化され、正答率が上がります。
〇瞬時判断課題
中央に何度も出てくる敵に反応していると、たまに味方が出てきます。
味方には反応してはいけないのですが、つい反応しがちです。
敵が出たら「押す」、味方が出たら「押さない」と言いながら行っていると、味方に対する誤りに気づきやすくなり、誤りが減ります。
〇時計課題
秒針が時々2目盛りまとめて進むのを見つける課題です。
ぼんやりしてきて、見逃したかも、と不安になります。
針が進むのを「よし」と言いながら確認すると、ぼんやりせず、不安が減ります。
各課題は、まず練習を行います。やり方は、ソフトが画像と音声で知らせます。次に、指差や呼称をしないで課題を行います。次に、指差や呼称、あるいは両方をして課題を行います。
課題が終わるとエラー防止効果についての結果が図として表示されます。
その後、研修では講師が、自習ではソフトが解説をします。
9.「指差喚呼効果体感ソフト」の使用条件
ソフトはCDROMからパソコンにインストールして使います。OSはWindows10、モニターの画面解像度は1280×800以上を推奨しています。1380×768等の場合は、タスクバーを縦にしてご使用ください。
本ソフトは、HASPキーをUSBポートに差し込んでいるときのみ使用することができます。HASPキーは1商品に1つ付属しています。
10.「指差喚呼効果体感ソフト」の販売実績
本ソフトは現在 297 箇所で購入いただいています(2022.10)。
販売本数は 886 本です。
1か所での購入本数は最大で 50 本、平均すると約 3 本の購入になります。
業種は、鉄道事業者等が 42 箇所、鉄道以外が 255 箇所になっています。
11.「指差喚呼効果体感ソフト」の販売価格
本ソフトの販売価格は税抜き 138,000 円です。
まとめて購入される場合は割引させていただきます。詳細は以下から商品説明資料をダウンロードしてください。
12.「指差喚呼効果体感ソフト」のよくある質問とその回答
Q1 課題は一度に全部実施すべきですか
A 1つの課題を行い解説など行うと30分程度は必要です。すべての課題を一度に実施することは、参加者の疲労や飽きが懸念され推奨できません。指差を扱う課題を1つ、喚呼を扱う課題を1つ、計2つを1時間の研修で実施することを推奨します。残りの課題は個人で自主的に実施してもらったり、次回の研修で取り扱うことを推奨します。
Q2 研修は複数回行うべきものですか、行う頻度はどのくらいでしょうか
A 多くの研修効果は時間とともに低下していきます。指差呼称のエラー防止効果についても年に1回程度研修して記憶を呼び覚ますと良いでしょう。
Q3 1つのソフトで研修を行うことは可能ですか
A 体験者を1名選んで実施し、その様子をスクリーンで他の参加者に見てもらうような研修は可能です。その場合、他の参加者は課題の疑似体験になりますので、実際の体験よりもエラー防止効果を実感しにくくなります。
13.まとめ
指差呼称は、ヒューマンエラーを防ぐ効果がありますが、その効果を腹落ちできていないと、恥ずかしいと感じたり、手間だと感じたりして、しっかりとした確認ができません。
現実の作業においてエラーはめったに置きませんから、エラー防止効果を腹落ちすることは難しいのです。
「指差喚呼効果体感ソフト」は、エラーを起こしやすい課題において指差呼称を行うことで、行わないときのエラー数と比較することができます。それにより、エラー防止効果を実感することができます。
研修において用いることで、指差呼称のエラー防止効果について腹落ちし、現場での指差呼称の実施を後押しします。
ぜひ、このソフトを用いて研修を行ってください。